2017/12/21





キャンドルの灯りのゆらぎを越えたところ、目には見えない雪の景色を私は見てる

2017/10/10





町はいつもそこにありました。
そこらじゅうにあった、野原やあぜ道はしだいにコンクリートで舗装され、ひろがる田んぼの景色が少しずつ縮小され、あとにはお店ができました。家が建ち、そのとなりには、また同じような家が建ちました。

それでも町はそこにありました。
朝は気持ちよくつんと冷えていて、どの場所もだいたいきらきらと輝いていたし、夜はほどよく静かで、時々遠くの踏切の音をかすめ、花の匂いがどこからか香りました。

久しぶりに歩いた通学路は、まるで夢の中を泳いでいるようでした。
広い道路、がらんどうの商店街、妙に見晴らしのよい大通り
大きな橋、大きな川、大きな銅像、
手入れの行き届いた花壇、犬の置物、四つ角

毎日歩いたあの頃より、ずっと大きくなったのに。この場所の何もかもは、昔と同じ距離のままで、ここに生きている。私だって、色々と渡り歩いてきたけど、まだうろうろとここに居る。遠くに居ても、積み重なる日は一緒だね。歩く速さも変わらないね。

本当に夢をみているような日。シーンが切り替わって、今は家の周りを歩いている。靴下を脱いで、下駄を脇に置いて、裸足で土を踏みしめる。足の裏の皮膚が、何事かとびっくりしているのが分かる。だから、できるだけ優しく地球と接する事が出来た。地面はぴりっと研ぎ澄まされているのに、甘くてさらさらだ。
一面の白い花のじゅうたんに出くわす。ここにも誰も居ない。じんわりくる。行き着いた今日の一番の高いところ。どうもありがとう。

2017/09/03

















輝く種 拡がる夕焼け 近くなる空と海 珈琲の匂い 石の文様
リズム 線の行方 小さな子の笑い方 風になびく紙 溢れ出すミント
柔らかい木 もくもく雲 

言葉は次から次に出て来るけれど、この夏はこんな具合








 

2017/08/23

個展終了しました


















sayuri hachikawa 絵の展示 
世界のそのまた世界 展が終了しました。

植物を見るとき触るとき、自然の中を歩くとき感じるとき、
自分が静かになくなって 広がって溶けていく そんな ’遊び’ をよくします。
その一環として描き落とされた、たくさんの植物の絵を、
それはたくさんの方々に見ていただいた三日間でした。
ありがとうございました。

温かいメッセージやお祝いも、本当にありがとうございました。
大好きなみなさまへ感謝をこめて。
また絵とともにお目にかかれますように。

2017年8月 少し秋を感じるまだ暑い夜に.

鉢川さゆり


2017/08/02






夏の暑い日も冬の寒い日も風の日も雨の日も
進む分だけ積み重なって 混ざって一緒になるのでしょうね

2017/07/09
















草や花や昆虫が、夏を心待ちにしていると思う。
そんな時、私も夏が好き。
それらが雨が恋しいと願う時、雨も好き。

自然のおかげさま
すっきりとした気持ち

2017/06/08
















裸足で草の感触を楽しんで、土の柔らかさを確かめる。時間は長く、ゆっくりと刻まれ、風に吹かれて、野の花がそよいだ。暑くて、蒸していても、夜がカーテンをひけば、皆静かに目を閉じた。暗闇を歩いていたら、そのうちぼやけた月を見つけて、もう少し、力をつけた。そんな今があった。私が何人もいるんじゃない。世界がいくつもある。この景色の中と外、茎の表と裏、車窓で見るうちに顔馴染みになったような家や、細い道、畑や物干し竿。一度だってその地を踏んだことすらないのに! 世界は誰にも関係なくあって、知っていて知らないことだらけで、それでも私の大好きな場所になる。いつもありがとう。導いてくれていて、どうもありがとう。

2017/05/17























落ち着かない時は何もしない。掃除をするのもいいね。

絵を描いていた一番古い記憶がある。
思うように描けないでかんしゃくを起こした小さな私がいて、そのペンを引き継いで、過った線に付け足して絵を描いた母がいる。不安だし、失敗するし、真っ暗闇である。でもいつもしてきたから、これからも続くよね。

2017/04/30















小宇宙


2017/04/08
















静かにしていると、音がきこえるよ。


手の中の春は雨に濡れているよ。雨の粒はほんのり暖かくて
薄らと色が付いているよ。

2017/04/03


中学の頃から不定期に付けていた日記は全部で四冊になって、これ以上増やすのはやめよう、と思った。

音楽を聴きにいった。暗闇にぼうっと灯る照明が印象的だった。
演奏のあいだじゅう、目を閉じていたら、ちいさかったころのことを次々と思い出した。どれも鮮明に浮かんで通り過ぎていった。
それからまぶたの奥の私は、だんだんおおきくなって、でも、今のわたしよりみんなちいさかった。だからいとおしくなった。家族や友人や遠くにいるひと、死んだ大吉のことも思い浮かべた。なんて素晴らしい夜だったんだ。

最後に演奏してくれた、灯台 という曲のメロディが、染み付いて離れないおみやげになった。


2017/03/05















目が合うと思わず嬉しくなる。私たちは、見つめ合えるんだね。

綺麗なものは触れたくなるね。
思わず花を顔にくっつけてしまう癖。

歯磨き中はどうも、着席してしまう癖。
今年の二月は 一体何色だったんだろうね。

2017/02/15






新しい図書カードを持った。

初めて行く図書館は何階にも分かれていて、これまで通ったどのそれにもあてはまらず
不思議な気分がした。図書館というより、図書ビルというのがふさわしいような。

もう一年以上も図書館には行ってなかった。
最後に行った馴染みの図書館で、読み切れていないまま返却した本を借りた。
懐かしい文章は、年月も道のりも超えて荒々しく自分に体当たりしてくる。
すっかり身ぐるみ鷲掴みされて、しばらく絵を描くのも休む羽目になる。

この一年は図書ビルにたくさん行かなくちゃね!


2017/01/25




チューリップは冒険家
菜の花も探検家
もくれんの枝の濃い茶
もくれんのふぁさふぁさの殻
咲いた花びらのなめらかさ
めしべとおしべの精確さ
芳香

2017/01/19




 先月の田舎。

先週は都会でも雪が降った。晴れた冬空に塵のような、
埃のような雪が舞った。それはそれで、とても幻想的な
光景だった。外出していて帰ろうと思った際に巡り会っ
たものだから、このまま部屋に帰るのが惜しくなって、
また歩き出した。今度は別の方向へ。初めて知る名前の
町へ。わくわくするほうの道へ。空気は冷たくて、青空
も見えていて、いつもの川はきらきらしていた。ここで
も雪が舞っている。こんな日は幸せだ。この時の気持ち
をまた思い出せますように。呪文のように一息で。  



2017/01/13





新しい年が始まりました
何を作ろう!何を描こう!
すっかりこどもに戻ってしまったよ